
先日、私の父が70歳でこの世を去りました。
元気で現役で働き、孫に遊ぶのが大好きだった人でした。
それが、突然の癌ステージ4宣告。病院に行ってからわずか1ヶ月で逝ってしまったんです。
信じられますか?
つい数ヶ月前まで、ちょっと息切れするな〜なんて言いつつも、仕事にゴルフに酒にと、毎日を謳歌していました。
まさかそれが、命にかかわる病気のサインだったなんて、本人も私たち家族も思いもしませんでした。
「まさか」は、本当に突然やってくる
父が余命1ヶ月と告げられてからの日々は、まさに嵐のようでした。
最初の2週間はまだ会話もできましたが、あっという間に身体は衰え、最後の2週間はほとんど話すこともできなくなってしまいました。
父が亡くなり、まず直面したのがお葬式です。
一体、どのようなお葬式を望んでいたのか?家族葬がいいのか、一般葬がいいのか?一般葬であれば誰を呼ぶのか?遺影はどれがいい?誰に喪主をお願いするのか?棺には何を入れてあげたら喜ぶのか?
ひとつひとつ、父に確認したかったけれど、もう声を聞くことはできません。残された私たち家族は、父が何を望んでいたのか、手探りで決めていくしかありませんでした。
そして、お葬式の次に待っていたのが、遺産のこと。これがもう、「謎解きゲーム」そのものでした。
「どこの銀行に、いくら入っているんだ?」
「保険はどこの会社の何に入ってるんだ?」
「証券会社はどこで、どんな株を持ってるんだ?」
「土地や不動産の権利書はどこだ?」
「祖父母の介護費用や年金関係の書類は?(父が先に亡くなったので)」
父は「子どもたちには迷惑かけない!」が口癖でした。それは金銭的なことだけでなく、健康面でも努力していたのは知っています。
でも、まさか「死んだ後」に、これほど子どもたちに迷惑をかけることになるなんて、きっと父自身も思っていなかったでしょう。
「まさかの時」のために、今できること
雑誌の定期購読、新聞、Netflixなどの動画配信サービス、そしてある日突然届くふるさと納税の返礼品。
幸いなことに、母が父のスマホの暗証番号を聞いてくれていたので、ロックを解除して諸々の解約手続きができました。もし聞けていなかったら…考えるだけで恐ろしい「迷宮入り」寸前でした。
父は、私たち子どもたちに迷惑をかけたくないという思いが人一倍強かった人です。だからこそ、元気なうちに「死んだ後のこと」まで考えておくべきだったと、今一番悔やんでいるのは父自身だと思います。
70歳を過ぎたら、ぜひ「エンディングノート」を書いてください!
だからこそ、70歳を過ぎた元気なシニア世代の皆さんに、私から心から伝えたいことがあります。
「老後の面倒は子どもたちにかけたくない」
そのお気持ち、よく分かります。でも、どうか「老後」と同じくらい「死んだ後」のことも気にかけてほしいのです。
そして、そのために、ぜひ「エンディングノート」を書いてください。
銀行口座の情報、保険、証券、不動産、スマホのパスワード、定期購読しているサービス、そしてお葬式の希望…。
これらの情報を、一冊のノートにまとめておくだけで、残された家族はどれだけ助かるか分かりません。そして、できれば1年に1度、内容を見直して更新してください。その時の気持ちをメモしておくのも、家族にとってはかけがえのないメッセージになります。
病気は、本当に突然やってきます。そして、あっという間に、何もできなくなってしまうことがあります。
元気なうちに、あなたにしかできない「家族への贈り物」を、どうか残しておいてくださいね。